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校門をくぐり抜け、高校の敷地内に入ると、待ってましたとばかりに桜の花が風に吹かれて舞い散った。
「おお、スゲ!」
ひらひらと舞う花びらに手を伸ばす新井が、幼く見える。
実際幼いのだろう。
なにせ周りを見回しても、そんな事を行っている人物は彼一人だからである。
「幼いのではない。アホなんだ」
やはり『幼い』で間違ってはいないようだ。
はてさて、この桜に囲まれた校内にいる新入生の何人が同中学生であることか。
再びさっと周りを見回すと、だいたい一度見たことのある感じの人間が大半だった。
当然初めて見る顔もいたが、エスカレーター式でもないのによくもまぁこれだけまとまって同じ高校に来たもんだなと、正直思う。
「これじゃまず、中学ん時と変わんねぇなぁ」
そうかもなと同感しておきながら、僕たちは校舎内に入った。
そして、これから教室に向かうのだが、偶然なことに新井とクラスは一緒だった。
クラスは1ーAとか、1ーCとかで分けられると思っていたら、11R、12R、13R……となっていた。
なんでも、12R、例えばこれは1.学年 2.クラス R.ルームらしい。
げた箱もクラスごとに別れていて、一個一個に数
字が記入されていた。
僕たちは、他の人にならって自分のクラスの自分の出席番号の数字の所に靴をしまった。
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