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その頃カインと“紅人形”はすでに街を出て、街道を歩いていた。
「とりあえず、ここまでくれば大丈夫だろ」
そういい、街道横の大きな木の下で足を止める。
「それにしても、ずいぶん軽いなあ。人形ってこんなもん…………はあ!?」
すっとん狂な声を出し、肩から下ろそうとしていた“紅人形”から手を離してしまった。
ドサッ…!
乱暴に下ろした“紅人形”をしばらく口を開けたまま見下ろす。
「どういうことだ!?だって、おれがさっき連れてきたのは……。え?えぇ!?」
カインはすっかり頭を抱えてしまった。
「いや…………そんなこと…………でも………………………あぁぁぁぁぁ!!」
発狂でもしたかのように大声をだしたカインは、乱暴にその場に腰を下ろした。
深呼吸をして呼吸を落ち着かせると、この目の前の状況を把握するため、一つずつ確認することにした。
(紅い髪の女の子………
紅い目はなぜか閉じている
きれいなのは変わらない
でもこれは明らかに幼い
すごいぶかぶかになってるけど、さっきまであの人形が着てた服………だよな?
体が縮んだ……………?
というか、若返った?
なぜ?……………………)
そう。
カインがオークション会場から連れ出したのは、確かに17、8歳くらいの少女だった。
しかし、今目の前にいるのは明らかにそれより幼い。見た感じ、10歳くらいの女の子だ。
しかし、あの“紅人形”とあまりにも特徴が似過ぎていて、別人だとは思えないのだ。
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