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「もうっ、なにがなんだかっっ!………ん?首になにか刺さってる?」
カインは考えるのをそこで止め、人形の首に手を伸ばした。
「ガラスだ。あの時刺さったのか」
あの時とはもちろん、カインがガラスケースを割った時だ。小さい破片が飛んでしまったようだ。
カインは躊躇なく、その破片を首から抜き取った。
「ぅ……………ん……」
途端、人形から声が漏れる。
そして、ゆっくりとその紅い目を開く………。
「あの噂は本当だったのか………」
カインはオークション会場で隣に座っていた中年男の言葉を思い出していた。
“生きてる人形”
目を完全に開けたそれはゆっくりと体を起こすと、その紅い目で目の前の男―カインを見つめた。
「………………ここは?」
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