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その会場に、盗賊が一人紛れ込んでいた。
漆黒の髪、黒い瞳。
着ているものまで黒である。
質素な服装というわけではないのだが、周りの富豪達のきらびやかな服装と比べれば見劣りしてしまう。
そして、やはり彼も噂を耳にして会場に足を運んだうちの一人であった。
しかし、彼の目的は“紅人形”を落札することではない。
盗み出すこと――
それが、彼の目的だ。
彼は巷では、そこそこ名を上げてきていた盗賊であった。
名をカインという。
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