闇オークション

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カインが席に着いて、5分。 待ちに待ったオークションが開始した。 有名画家の絵画、宝石などが次々に出され、それらはどれも破格の値段で貴族らに競り落とされていく。 その後、20点ほどが出品されただろうか。 次にライトの下にでてきたのは白い布を被せられた大きなガラスケースだった。 カインは直感的にそれが今日の目玉商品だと悟った。 (よし。タイミングぴったりだな) 思い、ニヤリと笑う。 「さあ、お待たせ致しました!皆様お待ちかねの最後の商品のご紹介です!!」 マイクを使い、息を荒げながら司会の男が叫ぶ。 それに比例して、会場のテンションも上がっていく。 「オークション開催前から噂になり、皆様は指折り数えて心待ちにしていたことでしょう!さあ、“紅人形”が今そのベールを脱ぎます!どうぞご覧下さい!!」 同時に白い布が取られる。 布の下からは高さ2メートルはあろうかという巨大なガラスケースが顔を出した。 中には今にも動き出しそうな人形が、こちらを見ながら立っていた。 ただこちらを見ながら。
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