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しかし、なぜタイミングよく電気が消えたのか?
オークションがはじまる30分程前、華やかなオークション会場の奥、様々なスイッチやコードが所狭しと並ぶ配電室にカインはいた。
そこで時計がついたこぶし大くらいの物をコードにしっかりと固定していた。
そう。
時限爆弾をセットしていたのである。
しかも、オークションの出品数などを考え、“紅人形”がでてくるまでを正確に計算した上でタイマーをしたのである。
その計算が見事的中したのはいうまでもないだろう。
カインは突然の暗闇に右往左往している人を器用によけながら、ものの数秒でステージの上にあがった。
そこで安心することなく、腰に下げたウェストポーチから1mほどあるビニールを取り出すと、素早くガラスケースの一面に貼付けた。
間髪入れず、ビニールの上からガラスケースに向かって右手の正拳を繰り出す。
ガラスは見る影もなく砕けたが、飛び散ることなく、しっかりとビニールに張り付いている。
カインはビニールを勢いよく引っ張った。
すると砕けたガラスも張り付いたビニールと共に引っ張られ、カインによって床へと投げ捨てられてしまった。
ガラスがなくなったことで“紅人形”に触ることができるようになった。
あらわになった“紅人形”をゆっくり観賞することもなく、カインは人形の腕を掴んだ。
(!?)
突如、なにか想像しえなかったその感覚に、反射的に手を引き戻した。
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