4446人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関の鍵を開けながらチラっと腕時計を見ると今日も午前0時を回っていた。
「はぁ~ぁ」
部屋に入るとすぐにスーツを脱ぐ。
それは何かの儀式のように、毎日の日課になっていた。
バサッ――
シャツを脱ぎ捨て「う~んっ」っと大きく伸びをした。
この感じがたまらない快感だ。
そしてこの脱力感が、“今日もまたやり抜いたぞ”っという充実感へと変わっていく瞬間でもあった。
「くぅ~ん」
振り向くと山田さんが大きな瞳で見つめていた。
「ただいまっ!」
一声かけると近づいてくる山田さん。
それだけで私の心は癒されていく。
山田さんとは、私の愛犬で、くりくりの目が特徴の可愛いチワワの男の子。
3年前のある日、私が引き取って以来、一番大切な存在になった。
最初のコメントを投稿しよう!