1:)高校入試試験

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「は…?最後の別れ…?」 30秒ほど間が開いて龍ヶ崎くんの口が開いた。 「うん。引っ越すんだ」 「引っ越し?」 私は目を丸くした。 素直に驚いた。 「俺達はもう付き合ってない。でも、お互いメールアドレスは携帯から消してないだろ?だから…メールアドレスも此処での思い出も…全て消そうと思って…」 「……」 再び場が沈黙した。 「三谷。携帯貸して…」 真剣な眼差しで言われたので、私はすんなりと携帯を手渡した。 「ありがとう…。」 龍ヶ崎くんは寂しそうに笑みをこぼすと、私の携帯のデータフォルダから付き合っていた頃のフォトやムービーを消した。 「ねぇ。なんで引っ越すの?」 場の空気を壊すように私は問い掛けた。 「親父の会社が倒産したから…」 尚も悲しそうに話す。 データを消す龍ヶ崎くんの指が震えているのが分かった。 これ以上詮索してはならない。 そう直感した。  
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