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約束の日―――。
三人は駅に待ち合わせをすることになっていた。
最初に来たのは純で、その後に幸紀が来た。
10分遅れで澤井さんがやって来た。
「よお。遅れてごめんごめん。ちょっと仕事が長引いてな」
「仕事で良かったです」
純がそう言った。
澤井さんは意味が分からず聞き返す。
「どういう意味だ?」
「寝坊とかじゃなくて良かったって意味ですよ」
「俺がそんなことするわけないだろう。仮にも刑事だぞ?!」
「すいません」
純が素直に謝った。
「それより早く行きましょう?」
幸紀がその話を終わらせるかのように言った。
「おぉ、そうだな。ところで、お前達に良いことがあるぞ!!」
澤井さんはそう言うと、「着いてきて」と言いどこかに向かった。
着いた場所は駐車場。
「澤井さん、こんな所に来て良いことってなんですか!?」
「あっ!」
純がそう言った時、幸紀が何かに反応した。
「何?」
純が聞くと、「あれ」と幸紀が指差した。
純がその先を見ると、「ご名答」という澤井さんの声が聞こえて来た。
純が見た先には一台のパトカーがあった。
「今日は張り込みがあってな、犯人を捕まえて警察に行った帰りにちょっくらパトカー借りてきたんだよ」
「いいんですか?!そんなことして」
純が驚きながら聞く。
「へーきへーき。どうせこれも仕事のようなもんだから。今日はこいつに乗って行く」
「これにですか?」
「こっちの方が早く行けんだよ」
澤井さんの言った通り。電車などを使って行くよりこっちで行った方が断然に早かった。
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