プロローグ

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「懐かしいね、あの頃が…」 「あぁ、あの頃はまだ俺達は綺麗だったよな。こんなに血に染まってなかった」 俺達は今、俺の部屋にいた。俺の体中には包帯が巻かれてあったりギブスがはめてあったりしている。 そして、俺はベットで寝ていた。その横で爐が座っている。 「うん…あの頃は今みたいに国と国の間で戦争が起きるなんて…しかも私達がその戦争の中心にいるなんて…思いもしなかった」 俺は思い出す。化学の力を司る天使『大騎』のことを…。 「俺もだよ。敵があんな化物だなんて思ってもいなかった」 化学の国との間で起きたこの戦争も俺と『大騎』の戦いの後にだんだんと収束に向かっていた。 「できれば戻りたいな…お前とただ無邪気に遊んでいた日々に…」 「うん」 爐はそっと俺のベットから立ち上がり、俺の顔を見つめる。 「爐…ごめんけど、体がもうキツい。そろそろ寝るな…おやすみ」 「おやすみ」 爐はそう言って俺の唇にキスをした。 そして、俺は瞼を閉じた。
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