プロローグ

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その直ぐ側には、少年の家族を手にかけた男が狂喜に顔を歪ませて立っていた。 「安心しろ……すぐにお前も会えるさ」 男は紅く染まった液体が滴り落ちる剣をゆっくりと振り上げる。 少年は襲いかかって来る死の恐怖に、叫ばずにはいられなかった。 激しい憎悪とともに、生き残る為に自分の力をすべて外へと吐き出す。 その瞬間、男の視界が光に包まれる。 反射的に、自分の目を覆ったが、その光は男を消し飛ばし、王宮総てを飲み込む。 その激しい閃光のような輝きが消えた後にあったのは、ただの瓦礫の山だけ。 そして、つい先程まで玉座の間であった場所に残っていたものは、たった一人の人間だった。
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