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学生の最大の敵。
それはいつの時代もどんな世界でも変わらない。
それは――。
「お前らぁ、来週からテストだからな。しっかりと勉強するようにな」
そうテスト。期末テストが来週からあるのだ。
こればかりは、この学校で生活していく限り、逃れられぬ運命というものだ。
ほかの学校でも大差は無いが。
さて、この学校のテストは特に難しいというほども無いが、一週間程度の勉強期間がなければ、点数を取る事はかなわない。
別に赤点にさえならなければ良いという輩もいるが、本当にそれは一部に限られる。
そんな人物でも、最低限教科書の見直し程度は一度はやる。
当然の事だ。赤点を取りたくなければ最低限の努力で済ませればいいのだから。
そんな楽観主義者の中でも、群を抜いて際立っている存在がある。
そう、誰を隠そうファイ達のクラスの唯一にして無二の落ちこぼれ、リオン・ヒルタレンだ。
彼はもうすでに点数を取るという事に関して、興味がない。
テスト時間なんて、無意味に惰眠を貪るだけの時間でしか無い。
入学当初の実力テストでも、彼は数問解いただけで後は爆睡していたのだから、筋金入りの面倒臭がり屋だ。
そのくせ、本気を出したら学年首位を取る程度の学力はあるというのだから、始末が悪い。
その実力を無駄にする必要性は全く無いと、以前ファイは彼に行った事があるのだが、彼から帰ってきた返答はこうだ。
「俺は、魔法や運動だけでなく、学力も低くなければ落ちこぼれだとは思っていない」
その無駄な拘りようを、他の方に向けてくれれば少しは楽になるというのに。
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