学生の敵

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彼女は驚いたように、こちらを振り返った。 「ファイじゃ無い。ここで会うなんて、珍しいわね」 「そうだな、ここで会う事なんて滅多に無い事だしな」 「それにしても……地震にでも備える心算?」 カレナはかごの中に入っている大量のカップ麺を指さしてそう尋ねる。 「いや、これはだな……」 ファイはバツの悪そうな顔で、カレナに買い込んだ理由を伝える。 「駄目よ! そんな健康に悪い事をしたら!」 何故かカレナが怒り始めて、ファイを怒鳴りつけた。 何故ここまで怒るのか、理解が出来ない。それは当然の事だが。 これを理解する日は本当に来るのだろうか。 彼の鈍感具合が若干気になってしまう。 何故、自分の気持ちにはあっさりと気が付いているというのに、相手の事に関してはこうまで気がつかないのだろう。 それが不思議で仕方がない。 「私が作ってあげるからさ、きちんとした食生活をしなさいよ」 「いや、どうせテスト週間だけだからさ。テストで点数取りたいし」 「それでもさ、健康に良くない事はしちゃまずいでしょ? だから私がちゃんとした料理を作ってあげる」 唐突な彼女の提案に、胆を抜かす。 如何に成績優秀であるとはいえ、カレナとて成績を落としたくはあるまい。 「必要無いよ。お前も自分の勉強があるんだろう」 「二人で勉強をすれば効率も良いでしょ」 「いや、お前は俺と比べると勉強もかなりできるだろ。何もわざわざ俺と一緒に勉強をする必要性も……」 「あー、もう。こういうときは素直に好意を受け取って起きなさい」 そう言うと断ろうとする彼の言葉を遮って、決定の言葉をかける。
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