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「カレナ嬢、本当になんでこここにいるんですか」
何故か敬語戻っているリオンはそう話しかける。
これが彼女と話す時の素なのかどうかは定かでは無い。
只の趣味であるとも考えられる。
ただ単にこういった話し方をした方が、落ちこぼれらしくていいだろうという、なんとも客観的で漫画じみた発想だ。
実力を隠している者は大抵は敬語であるとでも思っているのだろうか。
「あははは……ちょっと、ね」
すかさず買い物袋を後ろに隠すカレナ。
その行為がなんともいじらしい。思わず頭を撫でてしまいそうになるところだった。
まぁ、あえてそこを言及しない辺りは、何を考えているのか分からない所だ。
進展させたいのなら、何かリアクションを取るべきなのだが。
この状況を見て楽しむつもりなのだろうか。
なんにしても、達観者の視点は高慢すぎるのが、傷だ。
それなりの考えを持ってやっているのだろうが。
故に二つ名がルシフェルなのかもしれない。自分で決めた名なのだが。
「それにしてもよ、腹減ったぜ。飯でも食おうぜ」
さりげなくリオンはカレナに話を振る。
「リオン様はお部屋に帰られてください。と言うよりヘルに食事を作らせているでしょうに」
ファイはカレナへ投げられた話の流れを、自分の方向へと持ってきた。
「いいじゃん別にさ。丁度食材も切らしているし、大変なんだよ。買いに行くのは面倒だしさ。それに、どうせこの後受験勉強をする心算だし」
「受験勉強で無く試験勉強です。はぁ、もう好きにして下さい……」
大きく溜息を吐いて、肯定してしまうファイ。
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