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「この国だって十五年前までは戦争をしていたんですから、別に珍しい事でもありませんよ」
「人がいる限り、争いは起こり続ける、か」
「それもそうですね。だからそんな事を考えていても、余り意味がありませんよ」
「たとえ、お前はそうであったとしても、俺はそうはいかないんだ。考えなければ、俺の存在はもう、永遠のものに変わっているのだから」
リオンは独りそう呟く。
彼の周りには何も映らない。
虚空の存在。存在してはいけない絶対の存在。
彼が一人、世界を敵に回したところで、負ける事は無い。
それほどまでの力を手にしている。
あふれ出る魔力、死なない肉体、鍛え上げられた技、折れない精神。
そのどれをとっても、まさしく最強の男なのだ。
心・魔・技・体、その全てを兼ね備えた男。最強では無い、絶対が相応しい男。
「ただ、俺としては虚しさを感じるな。また、争いを繰り返すのか、と」
「それをいいますか。一応神様に近いんでしょう」
「確かに俺は神に近い存在だが、元は人間だ。憂鬱にくらいはなるさ」
ふう、とため息を吐くリオン。
無気力感漂う彼の言葉にファイも思わずため息を吐くしか無い。
もう自分から動く事にも疲れ果てているのだろう。
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