19288人が本棚に入れています
本棚に追加
/780ページ
そんな彼女の脅しは置といて、食事を開始する四人と一匹。
ロウは今まで大人しく、リオンの膝の上で丸まっていた。
まるで猫のように。
リオンの周囲がそれほどまでに、落ち付くのだろう。
ロウは彼の事を父親だと思っているのかもしれない。
優しく時に厳しい彼の事を。
これがもし、五十年も昔の事だったら、間違いなくロウはリオンの事を恐怖しているだろう。
鋭い刃のような彼に。
「美味いな、カレナはまた腕を上げたのか」
ファイは料理を口に運ぶと、自分の為に食事を作ってくれた少女に対して、賛辞の言葉を向ける。
「そ、そうかな?」
頬を染めて、まんざらでもなさそうだ。
先程とは立場が逆のように見える。
「料理を教えたのはこの私なのだからな。上達して貰わなければ困る」
ヘルは上品に料理を口に運びながら、口を尖らせてそう言う。
「そう言えば、忘れていたなヘルに料理を教わっていたのか」
カレナに向かってそう尋ねる。
別に棘のある言い方をしたわけでは無い。だが、彼女は何が気に入らなかったのか、少し怒り気味の口調に変わる。
「そうよ、悪いかしら?」
「いや、別に悪いってわけじゃない。ただ、昔からカレナの料理を食べてきているけど、上達の速度がかなり速くなったんだよな」
予期せぬ彼の言葉に、ボン、と音を立てるように顔を真紅に染めるカレナ。
最初のコメントを投稿しよう!