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この寮に不審者など侵入できるはずもないので、何の躊躇いも無く扉を開いた。
「よう、ファイ。勉強を教えに来てもらったぜ」
来訪者の言葉を聞いた瞬間に、無言で扉を閉めました。
「ちょっ、待てよファイ! なんで閉めるんだよ!」
やかましく扉をたたきながら、中にいるファイに呼びかけるファイ。
「さて、さっさと勉強を始めますか」
何事もなかったかのような冷静さで、ファイはのんびりとした口調で呟く。
「一体誰が来てたの?」
台所から出て来たカレナは、訪問者について尋ねる。
「ああ、タチの悪い馬鹿だよ。気にするまでもないさ」
未だにシルノの時の事を根に持っているファイ。
当然、チャンスを与えているのに、中々ものにできていない奴に、情けをかけてやる理由も無い。
だから、勉強だって教える気にはならない。
どうしても教えて欲しいなら、ピアナの所に行けばいいのだ。
カレナはさして興味も無さそうに、返事をすると自身も勉強道具をテーブルの上に広げた。
本格的に勉強をする心算だ。
「ほら、リオン様も勉強をするんでしょ」
ロウを優しく撫でているリオンに勉強をするように促す。
「あ、俺? ロウを起こすのもなんだし、もうしばらくやめとくよ。おーい、ヘル。酒を持って来てくれ」
元より勉強なんてする気も無いので、当然断る。
しかし、彼の言葉に含まれていた一つの単語に、カレナが反応しない訳がない。
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