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「もう良いよ。俺は一人で晩酌しているから。二人は仲良く勉強をしていろ」
若干投げやりにそう言うと、何時の間にやら酒を持ってきていたヘルから、グラスを受け取る。
ヘルはリオンのグラスに、酒を注ぐ。
そして、リオンは一気に酒をあおった。
「やっぱ、美味い。これの為に働いているんだよなぁ」
リオンはわざとらしく大きな声を出して言う。
「何親父臭い事を言っているのよ。あんたはまだ働いた事なんて……」
「あるぜ。俺は師匠と一緒に結構な仕事をこなして来ているんだぜ」
「でも、ルシフェル様はいつも一人でいるのよ?」
「そんなもの、簡単じゃないか。俺はただ単に姿を隠している。それだけだ」
大口を開けて笑うリオン。
カレナの指摘も悪くは無かったのだが、彼の正体を見破るには幾分、与えられている情報が偏っている。
今のように、姿を隠していたという事で納得できてしまう程に。
それ程、崩天のルシフェルの弟子、という言葉が大きいのだ。
その他にも、見せられた彼自身の実力もあるが。
「で、どうだ。お前たちも一杯やらないか?」
「遠慮させてもらうわ。なに当然の流れみたいに、飲ませようとしているの」
「そりゃ残念。まぁ、気が向いたら言ってくれ」
「気が向いたら、なんて事はありませんから」
不機嫌そうに鼻を鳴らして、カレナは筆記具を持って、問題集に向かう。
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