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だが、今日の彼はそれをしない。
むしろ、便乗する気配まで見せている。
勿論、彼らのこの行動の原因はリオンにある。
察してはいるだろうが、彼はヘルが差し出した飲み物に、酒を入れておいたのだ。
リオン特製の、とっても美味しいお酒が。
「いやまさか二人がここまで酒に弱かったなんてな」
二人の行動を眺めながら、リオンは一人傍らにいるヘルにそう話しかける。
「……主、あまり悪戯が過ぎますと、小僧に嫌われますよ?」
たしなめつつも、あえて止めようとはしないヘル。
「大丈夫さ。あれは結構強い酒だからな。このまま酔い潰れてくれれば、何も覚えてはいないさ」
「大丈夫ですかねぇ」
「大丈夫さ、きっと」
楽観主義者と、悲観主義者。
はてさて、今回は一体どちらの予想が当たるのだろうか。
それは日頃の行いが全てを決めることである。
つまり、日頃の行いがあまり宜しくないリオンには当然、とばっちりが来る可能性を、大きく含めている事になる。
時の運、とやらも勿論関係しているのだろうが、あまりこの場では関係なさそうだ。
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