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高らかとそう宣言すると、彼女は素早く、自分の上着の裾に手をかける。
そのまま、脱いでしまおうという魂胆だ。
だが、そうさせるわけにはいかない。
彼女の無垢な四肢を、エロオヤジに見せる事は出来ない。
そして何より、自分の理性を保つために。
彼女の手を抑え込むために近づくファイ。
酔いが回っているとはいえ、戦闘訓練で染みついた技はそう簡単に体から離れる訳がない。
素早く体をひねり、ファイの手を避けるカレナ。
酔いもあってか、若干動きがふらついているが、中々のものだ。
――これが酔拳という奴なのか?
リオンは彼女のゆらりとした動きを見て、昔娘から教わった言葉を思い出していた。
「へっへんだ。わらひはそう簡単には捕まらなひもんへ」
にへらとだらしない笑みを浮かべる。
「らったら、捕まえてみへるまへ!」
此方も酔いが完全に回ったらしい。
彼女を捕まえる為に、その体を彼女に向ける。
対峙する二人。まるで決闘のような緊迫した空気が二人の間に、流れている。
そして、酔いが回っているこの状況で、先手を取った方が有利なのは、火を見るよりも明らかだ。
そして、その先手を取ったのはファイだ。
彼は、彼女の両腕をつかもうとして飛びかかり、当然反応の遅れる彼女は、回避する事は出来なかった。
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