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部屋の中に入ると、す腕の中にいたカレナをすぐさま、ベット上に寝かしつける。
そして上から布団をかぶせてやる。
普通なら、美しい娘の無防備な姿を見て、何かしら性的な興奮があったりするようなものだが、彼にはそれが無い。
まるで、娘を見るような表情で、頭を一度撫でると、ベッドの近くにあった、写真立てをみてみる。
そこには幼い少女と、並んで写っている幼い少年。
小さなころのファイとカレナだ。
二人とも、はにかんだ笑顔で手を繋いでいる。
その姿がなんと純粋で、無垢なものであろうか。
無意識にリオンは微笑んで写真を手に取り、まじまじと眺めてしまう。
「ん?」
そんな写真の裏に一枚、別の写真がある事に気づいた。
それには真剣な表情をしたファイが、額に汗を浮かべ刀を握っている姿を写している。
容姿や、刀の形状を見る限りだと、高校に入った直後か、高校に入る前に撮ったものだろうと、推測出来る。
「ここまで、狂信的だとはな」
リオンは溜息を吐いて、写真縦を元に戻し、部屋から静かに立ち去った。
勿論、きちんと扉の鍵は閉めてから。
月明かりが照らす部屋に、少女の安らかな寝息が響くだけになった。
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