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さて、今日も学校なのでささっと食事をして、身支度を整える。
今日も大変な一日になりそうだな……。
一人溜息を吐くと、扉に鍵をかけて学校へと向かっていった。
教室内の空気はテスト前なので、かなりピリピリとはしていたが、若干緊張感の足りない面々がいる。
が、それも表面上だけであって、内心ではかなり気にしている。
「なぁ、ファイよ。ここまで敏感になるものなのか」
背後からリオンの声がした。
「珍しいですね、朝からここにいるなんて」
どうやらなれたらしく、振り向かずに答える。
「俺の質問は無視かよ……」
「あぁ、そうですよ。みんな焦燥しているんですよ」
「お前は大丈夫なのか?」
「昨日、俺に酒を飲ませて酔い潰したのは、何処の誰ですか」
「おろ、気づいておったか。思ったよりも酒には強いようだな」
「ちょっとした推測です。というか、二度とあんな事をしないで下さい」
「分かりましたよぉっと」
全く反省してない彼に、溜息を吐く。
教室に並んで入りながら、ファイはリオンの方をみていう。
「お前も少しは緊張してくれよ。テストの点数くらいはとっておかないと、留年するぞ」
口調を人前のものに戻して、忠告するファイ。
「そのセリフは何度目かな?」
「冗談はそこまで。ほんとに気をつけてくれよ。今回のテストは、後々の評価の基盤になるんだから」
それを聞いた彼は、いい事を聞いたと言わんばかりに、妖しげな笑みを浮かべる。
それを見たファイは、また溜息を吐く。
「……何を企んでいるのですか?」
目を半開きにして、疑惑の目を向けるファイ。
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