学生の敵

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酷く嫌な予感しか無い。 というより、本能がきくな、と言っている。 「おいファイ! 昨日はとんでもない事をしてくれたな!」 ワルキが教室に来るなり、ファイにめがけて怒鳴りかけた。 「五月蝿いな。頭に響く」 頭を掻きながら、ワルキに向けてそう言う。 「煩い! お前は何で昨日いきなり扉を閉めた!」 「あーはいはい。ごめんごめん……。さて、今日の授業は何だったけかな」 全く詫びる気など無いファイ。 見事に無視をきめる。 「おまえなぁ!」 「うっさいわ!」 とりあえず殴って黙らせる。 弱いとは言っても、二日酔いの頭には響くものだ。 案外結構、力が入っていたのか、見事に吹っ飛ばされるワルキ。 それでも軽度の打撲をしていない所は、かなり頑丈にできているらしい。 「死ぬわあ!」 「黙ってろ意気地なし!」 起き上がってファイに向かって怒鳴るワルキに、もう一発拳をお見舞いする。 今度は先程よりも鈍い音がして、壁に叩きつけられた。 「ぐはぁ!」 なんともありきたりな声を上げて、ワルキはそのまま気を失ってしまった。
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