学生の敵

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「ったく、勉強くらいピアナに見て貰えっての」 殴った方の腕をまわしながらそう言い捨て、席に戻る。 「おいおい、あそこまでやって大丈夫かよ」 リオンも溜息を吐きながら、ファイにそう尋ねかける。 リオンとファイの関係で、慣れきっているのか、誰も騒ごうとしない。 皆、自分の机に向かって勉強をに取り組んでいる。 ただ単に、自分の身が可愛いだけなのだろうか。 「大丈夫でしょ。最初の一撃で沈まなかったんだし」 「しかし、それにしたってあれは無いだろ」 「五月蝿かったのだから、しょうがない。というか、その原因の一角がお前にもあるんだけど?」 悪魔の微笑みを浮かべて、握りこぶしを作り、リオンに問いかける。 その覇気と怒気、殺気の混濁したなんとも言えない気迫には、苦笑せざるを得ない。 というよりも、むしろ戦闘でも無いというのに、そこまでの威圧が出来るんだろうか。 リオンにとっては、それが不思議でしょうがない。 今のところこれが出来るのは、カレナとファイ、そして自分の子供だけだ。 その中でも、女性陣の威圧感はすさまじい。 雀程度なら軽く殺せるのでは無いのだろうか、という程の威圧感を放って来るのだ。 リオン達で無ければ、泡を吹いて気を失った事もあるだろう。
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