学生の敵

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扉の向こうから現れたのは、我らがクラスの担任だ。 彼女が教室に入ってくると同時に、始業のチャイムが鳴り響く。 「はーい席つけ、お前らぁ」 その言葉で、仲間内で勉強をしていた連中が自分の席に戻る。 「出席を取るぞぉ」 全員席に着いたのを確認すると、担任は出席を取り始める。 当然、リオンがいる事には吃驚仰天していたが。 「さて、普段見掛けない奴がここにいるが、気にしないで先に進めるぞ」 さらりとリオンに対して毒を吐く。 そんなぁ……、と何やら悔しがるリオンだが、そんなのどこ吹く風、と言ったように話を続ける。 「さて、もうじきテストの日がやってくるが……お前たちの調子はどうかな?」 ぐるりと生徒達を見回す。 そのどれもが若干、焦っているようにも見える。 「はっはっは、ずいぶんと慌てている連中が多いようだな。だがしかし、日頃から鍛錬を怠っていない奴に、付け焼刃は通用せんからな。お覚えておけよ」 豪快に笑って、そういうと今日の連絡事項を伝える。 さしあたって、特に重大な連絡は無かったが、テストに関係する話が若干聞こえて来るので、みんな必死になって話を聞いている。 これが普段なら、だらけて人の話などまったく効かない連中なのだから驚きだ。 心の中で、ぴくりぴくりと反応している生徒達を見て、大きく笑っている担任。 この爽快感は、味わったものにか分からないだろう。
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