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だが、当然リオンにとってテストなどどうでも良い事なので、かなり聞き流している。
そんな事よりも、今日のファイの訓練はどのようなものにしようかと、悩んでいる最中なのだ。
今日からちょっと凝った訓練にしてみようか、と考えてみる。
これからテストまで時間がないというのに、容赦がない。
「さて、さっきから上の空で聞いていたリオン」
「なんですか?」
自分の名が呼ばれた事により、思考を中断する。
「特にお前は気をつけておく事だな。これで赤点でもとろうものなら、地獄の補習が待っているぞ」
黒い笑みを浮かべ、愉快そうにリオンに言い放つ担任。
どうやら、かなり楽しみにしているようだ。
リオンがかなりの落ちこぼれであるという事は、事実である。
つまり、リオンが補習を受ける事は決定事項に近い。
だが、長い長い夏休みをそう簡単に失う訳にはいかない。
楽しい楽しい特訓漬けの夏休みを。
赤点なんてだして、そんなものを失う訳にはいかない。
行きたい所だってあるのだ。
「大丈夫なんじゃないですか?」
楽観的な口調でリオンはそう言う。本当にそうなのだから恐ろしい事だ。
「ほうほう、それじゃあ楽しみにしているよ。お前が補習に来る事を」
「ええ、楽しみにして下さい。赤点を取らない自分の事を」
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