1.サケル彼。

6/14
前へ
/14ページ
次へ
暫く肩を上下させながら呼吸を整えて、幾分か落ち着いたところで会長は言った。 「……手紙、読んで来たんだよね?」 手紙? 会長から? 「手紙ですか?」 「うん、て。読んでないの?」 手紙って単語を聞いて反応してしまったけど、さっきの偽ラブレターと会長とは何の繋がりも無いわけで。 一体会長は何の事を言ってらっしゃるのでしょう。 「……えぇーと。会長から?ですよねそりゃ」 「うん?」 何の悪さも知らないような顔をして頭を傾ける会長に、さっきの偽ラブレターって会長が書いたんですか?なんて聞けるわけもなく。 そもそも会長を疑ってるわけじゃないんだけど。 そうなると全くもって会長の言ってる手紙が何なのか分からない。 「すいません、何の事だかさっぱり……」 「そっか。まぁ別にここに来てって書いてあるだけだったんだけどね」 ん? あれ? それ、さっき見ましたよ。 確に、そんな感じの手紙。 けど、それって、 ラブレター…… 「……ぁ」 「どうしたの」 てゆーかさ。 そうだよね、そっかそっか。 最初から別に。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加