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羽佐間がニュースを見た翌日の晴れた朝、警察は動き出していた。
一台のパトカーが国後家、そして正人の居る工事現場に向かう道を進んでいた。
「しかし、こんな山の中じゃ一体どこにいるか分かりませんね、新菜さん。」
パトカーを運転している警察は頬のニキビを気にしながら言った。
「大丈夫だぞ宮澤(ミヤザワ)。携帯で学校へ連絡を入れてるから、山奥ではなさそうだがな。」
助手席に座る警察は答えた。
そう、麗の父が。
麗の父は新米の宮澤と共に正人の捜索に来ていたのだ。
「新米のお前にこの辺を覚えてもらうには良い仕事だ。」
「しかし、新菜さん。何で大きな仕事を降りてここの捜索に加わったんですか?」
「ん?……ああ、行方不明になってる正人って子は娘の友達でね。」
「なるほど!」
宮澤は何事も無く、車を進める。
しかし、麗の父は顔をしかめた。
そう、捜索に加わったのは正人か死願書を受け取った人間だからだ。
《期限はあと一日……。》
麗の父は不安を抱えていた。
パトカーは国後家を通りすぎ、工事現場にたどり着いた。
宮澤はそこを無視して進もうとした。が、麗の父が声を上げた。
「停めろ!」
「!……はい!!」
パトカーは停まった。
「どうしました?」
宮澤は訊ねると麗の父はあるものを指差した。
それは工事現場に転がる、空の弁当だった。
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