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少しすると、波美の家族らも病室にきた。
「あぁ、小夜子かぁ、尚までありがとねぇ」
「さょちゃん。」
ババァと旦那が交互に私を呼ぶ。
その後ろから、2人の子供が波美に歩み寄る。
私と、尚はババァと旦那と話を。
子供らは、会えない日を埋めるかのように、寄り添い甘える。
「俺、ジュース買ってくる!」
「はいよ。走らないでいくだよ。」
普通の会話だけど、親子共々嬉しそうに会話している。
下の飛鳥ちゃんは、ベッドにピッタリ離れない。
上の子、流くんが買ってきたジュースを飛鳥ちゃんにも渡す。
「なみちゃん、これやって。」
まだ幼い飛鳥ちゃんの、何気ない言葉に反応することなく、ストローを刺してあげる波美。
「ありがとぉ」
どんなに、ママやってと言われたいだろうか。目の前にいる波美は、飛鳥ちゃんには『なみちゃん』でしかない…。
聞いていて、心がつまる。
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