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もうすっかり日が落ちた頃、私と波美は窓越しに家族を見送っていた。
駐車場の家族が手を振っている。
私達も手を振り替えす。
車が駐車場から、またくるよという感じでゲートを後にする。
「こうやって、バイバイするじゃない。」
と波美。
「うん」
「私はいいよっていうんだけど。ほら^^」
この、病院はちょうど坂の中間にある病院。
少し先をみると、坂の上で車が停まっていた。
そして、また手を振っている。
波美の家に帰るには、ゲートを出て坂を登ってというルート。
「この病室が見えるのが分かって、毎日あぁやってもう一度あそこに停まって手を振ってくれるだよ。」
嬉しさ半分、寂しさ半分の表情がみてとれる。
そんなことより、自分もあの車に乗って帰りたいだろうに・・・
私はその思いを隠して、
「そなんだぁ。よくみつけたねぇ。」
とだけ答えた。
本当によくみつけたと思った。
心が繋がってるってこんなことなのかなとも思えた。
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