45人が本棚に入れています
本棚に追加
突然、広也が話し始めた。
「なあ、孝平」
「ん」
「コンクールで会おうな」
「おう、広也」
「お前は苦労するぞ」
「そうだな。桐谷(キリタニ)高校吹奏楽部はもっとレベルアップしないと、共星(キョウセイ)学園には勝てないしな」
「その前に、部員数を増やさないと。大編成の部で競う以外、俺は認めないぞ」
「あは、違いねえや。共星ジュニアと小編成の部で争っても何にもならない。
広也、前言撤回する。下手でもいい。必ず3年生になるまでに桐谷ブラバンを大所帯にして、共星とコンクールの同じ日に同じステージに立つ」
「俺も3年までに共星シニアに入れるように練習する」
「そんなの簡単だろ、お前なら」
「天下の共星だぞ、油断はできない」
二人は話しながら歩き出し、校門を出ていた。
学ランの第二ボタンのことはもう二人の頭から消えていた。
最初のコメントを投稿しよう!