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広也が進学する私立共星学園は、吹奏楽コンクール県代表の常連校である。
部員数も100人近くいて、コンクールには、シニアとジュニアの二つのバンドに分け、大編成の部と小編成の部に出場し、毎年双方とも好成績を残していた。
広也は音楽大学進学も視野に入れ、共星学園を選んだ。
孝平も、広也と一緒に共星学園に進学したかった。
しかし両親に反対され、進学校の県立桐谷高校に入学することになった。
孝平は、誰もが羨む県内一の進学校に合格しながら、大変不満に思っていた。
桐谷高校吹奏楽部は進学校ゆえか余り活発でなく、部員数もコンクール大編成の部規定の50人には程遠く、小編成の部に出場したりしなかったりなのである。
孝平は、偏差値は下がるが吹奏楽の盛んな高校を受験する代わりに、桐谷高校受験の条件を両親に承諾させていた。
それは、『桐谷高校に合格したらトランペットを買ってもらう』
広也も高校に入学したらトランペットを買ってもらえるそうだ。
二人は、中学の頃から何かと世話になっている地元の村瀬(ムラセ)楽器店に、トランペットを何種類か取り寄せておいてもらうように、注文しておいた。
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