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どれも簡単に想像出来てしまうのは、王子の天真爛漫な性格のせいだろう。 この王都の第二王子、ウィディアン・クヤホーマは幼き頃から色んな人々に好かれてきた。 よく城を抜け出し、王子が城下の街並みを歩き回っているらしいという連絡を受け、迎えに行けば大衆に囲まれ、両手一杯にリンゴやら焼き菓子やらを持たされて、ニコニコと嬉しそうに笑っている王子を見た瞬間、なぜか怒りを覚えた。 「ガディロン。お前はクイーンズ・ガーデンがあると思うか?」 「えぇ。」 いつか、このクソ生意気な王子にあの美しい庭を見せられる日が来ればいい。 そうしたら、少しは落ち着くかもしれない。 逆に悪化して、ユズキに迷惑ばかり掛けたくはない。 そんな事があれば、ユズキはもう二度とあの庭には入らせてはくれないだろう。 「ガディロン。」 「はい?」 「モモが食べたい。」 「……………探して来ますが、期待はしないでください。」 とは言うが、宛てはある。 でも、持ってくる気はサラサラない。 それで勘付かれたらたまったもんじゃない。
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