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大変な事になっている。
そう直感したのは、王都・クヤホーマに一週間分の食料を調達しに行った時だった。
ビラをバラまいていた男の子が、「朗報!」と言いながら騒いでいた。
バラまかれたビラを一枚拾うと、そこには、『美しい庭を探している。一番美しい庭を持ちし者には、褒美として1億ドルを渡そう。』と書かれてあった。
1億ドルといえば、人生の半分は楽して暮らせる金額だ。
「まぁ!それなら私の庭が一番だわ!」
「何を言っとるか!ウチの庭が一番に決まってる!」
そのビラを見た人達は目の色を変えて、次々にそう言う。
けど間違いない。
王は、私の庭を探してる!守らなきゃ。私が、あの庭を守らなきゃ!
一週間分の食料を急いで買い集めると、早足で家へと戻った。
買ってきた物を小さなテーブルに置いて、ガラスで出来たドアを押して入った。
見た目は私が住み着いている山小屋よりも小さいはずなのに、その中に入ると不思議と広い。
私はここで咲いてる花を育てながら、花屋を営んでいる。今日は、一週間に一回の休みの日。
多分、これからは働きに出るほど暇じゃなくなる。
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