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「……なんで…」
勘違いであってほしい。
私が自意識過剰なだけと、誰かに言ってほしい。
誰かに、こんな庭になんの魅力があるのだ。と言ってほしい。
だって、ここはお婆さんと私の庭だもの。
季節に関係なく咲き乱れる花々。
小鳥は囀り、この庭の中を飛び回っている。
幻想的な空間に、私はホゥっと安堵の溜息を吐き出す。
誰もここが庭だなんて思わないか。
生活には何事もお金が必要。この庭では野菜は育てていないから、自給自足は魚を釣るぐらいしか出来ない。
だって、猪やら、子ウサギを例え捕まえられたとして、捌く度胸が私にはない。
やっぱり王都で花を売っていくしか、食べていけない。
冷静に考えれば考えるほど、ここから離れなければ生活が出来ないと思い知らされてしまう。
明日はどうしよう。
休もう。はい、決まり。
そう、頭の中で整理が付くと、警戒しながらそっとドアを開くと、銀色の鎧を身に纏った人と目があってしまった。
もうダメだ。
そう内心ボロボロと泣きながらドアを閉めた。
もう少し、ここに居る必要がありそうだ。
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