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「そ、そそそそそそそ粗茶でございますすすすすす…。」
緊張しながらも銀色の鎧さんに、紅茶を出す。
紅茶の茶葉はもちろん自家製だ。
あの後、夜になるまでずーっと庭で薔薇の棘を取っていた。
もう居ないだろうと思ってなんの警戒もなく庭から出ると、銀色の鎧はまだ居た。
いっその事、諦めて帰って欲しかった。
が、あんな遅くまで居たという事は私にとって悪い理由でなく、良い理由かもしれないという事で、恐る恐る銀色の鎧を山小屋に入れて、お茶を出したのだ。
「あぁ。」
喋った!?
銀色の鎧の一挙一動にビクつく。
「そ、それで、わ、私に、なななな何かご用ですか…。」
「たまたま通りがかっただけだ。気にするな。」
気にするんだけど。
とりあえず、この人は悪い人ではなさそうだし、警戒心を少し解く事にしよう。
「それで、君は、」
「あ、ユズキっていいます!」
「ガディロン・ディーデだ。」
ガディロンかぁ…
いかにも厳つい名前だなぁ。
「あなたは、あのガラスに囲まれた中で、何をしてたんだ?」
心臓が跳ね上がる。
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