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くしゃっと五線紙を丸めて、流鬼はぐっと口をへの字に歪めた。
堪えて堪えて
けれど堪えきれなくて、溢れてくる涙を膝を抱いて隠した。
「―――どうしたんるきぃ!?」
偶然通りかかった麗が、驚いて駆け寄ってくるのだが、なんでもないないないないない!と流鬼は顔を上げようとしない。
「まさか泣いてんの?;」
「ちがうしっ」
「じゃなんで顔あげないの?」
「寒いの」
「ここ暖房入ってんじゃん」
「眠いの」
「――やっぱ泣いてんじゃ…」
「違うからっ!」
麗にからかわれながら、無理やり椅子から降ろされそうになって、流鬼は必死で抵抗。
「うれしいのっ!」
「え、なんかいいことあったん!?」
「つかうっさんにはカンケ-ないしー」
捨て台詞はそんなところで、ちょっかいやきの麗から逃げるように駆け出す流鬼。
「んだよ、待てってー!!」
しつこく追い掛けてくる麗とデットヒートしながら、流鬼はひどく胸が舞い上がった。
またみんなとこうして騒げる
また玲汰と一緒に居られる
いつもと変わらぬ
仲間と過ごす時間
これからも永遠に続けと
彼の胸はトクンと一つ波打った。
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