ﾔﾏｱﾗｼのｼﾞﾚﾝﾏ

小岩井リンゴの苦悩

あれはいつだったか
ライブ後の打ち上げが終わって、流鬼の自宅でﾒﾝﾊﾞｰとわいわい騒いで、
酒が回った他のﾒﾝﾊﾞｰは、潰れてお眠。
その日、玲汰は見たかったホラーのDVDが一人で観れなくて、みんなと一緒に…と約束していたからさぁ大変。
一人風呂に入っていた流鬼があがってきたので、必死でお願いして一緒に見てもらった。

『何お前、こゆのﾀﾞﾒなん？』

タオルで濡れた髪を乱暴に拭きながら、流鬼が意地悪く笑った。

『んﾞ…まぢ普通にﾀﾞﾒかも;;;』

なのに観たいとせがむのだから面倒臭い男だ。
居てよ！トイレとかもやだかんね！と、再三約束させられ、流鬼は玲汰の隣にﾍﾞｯﾀﾘ座らされた。

『――――っひ！川;』

怖いシーンで何度もびくついては、流鬼に『ヤバいべ…ｺﾚまぢヤバいべ！;』とふってくる玲汰。
なんだか面白くなってきた流鬼は今度は自分が脅かしてやろうと、ﾌﾞﾗｳﾝ管に見入っている玲汰の背後に回った。

(せーのっ…)

『わﾞっ!!!』

『うﾞぁああっ!!!;』

大･成･功☆