小岩井リンゴの苦悩

12/18
前へ
/99ページ
次へ
『はっ……放すっべ!』 『やだね』 『なっ…!いい加減に…!』 暴れ通していた玲汰も次第に力が抜けてきて、怖いのも紛れるし、流鬼に任せた。 不思議と、背中に流鬼を感じていると安心した。 『流鬼…』 『なんだよ』 『酔ってる?』 『少し』 そんなことを度々話す。 もう映画は全く頭に入ってこない。 徐々に頭の中は背中の流鬼で一杯になって、複雑な思いがぐるぐるしている。 ついに話題もきれて、沈黙が続く中、先に口を開いたのは玲汰だった。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

517人が本棚に入れています
本棚に追加