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うつ向いた玲汰に流鬼が問うた。
『なんでさ、隠すの』
『―何の事だべ』
すると流鬼は玲汰の小鼻をデコピンならぬハナピンで弾いた。
『なぁっ…!なにすんだべ!#』
鼻を押さえて、皆が起きてしまわないよう玲汰は小声で怒鳴る。
『いつもさ、服で隠して。超暗いぜ』
確かに
いつも襟の深い服やマフラーなんかで、うつ向いて歩いていた気がする。
『だって…』
自分は流鬼と違って
鼻だって低いし、かっこよくないし…
『うっせ』
玲汰の顎を摘みあげて、流鬼は微笑った。
『俺はこっちのが好き』
―――ドキッ
漫画だったらきっとこんな音に聞こえたろう。
流鬼の「好き」という言葉に、玲汰は大きく揺るがされた。
自分がおかしいのか?
濡れ髪の流鬼がやけに艶やかに見える。
『玲汰』
もう既に流鬼を真っ直ぐ見れない。
『な…なんだべ』
『俺がさ』
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