小岩井リンゴの苦悩

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マンションのエレベーター。 落ち着きのない玲汰は、目的の階のボタンを連打して、キーキー焦りを口にする。 やっと開いた!と降りて、ダッシュで玄関の前まで走ってくると、息を整え「ただいまぁ」と扉を開けた。 「遅ぇ」 不機嫌そうな声。ソファに寝転がって、流鬼はチラッと玲汰を睨む。 「何ソレ随分なご挨拶。流鬼の為に遥々遠くはアラスカまで探しに行ったんだべ」 「車でか?アホらし」 気だるそうに起き上がって「ちょうだぃ」の手を向ける流鬼。 少々乱暴に小岩井リンゴのボトルを手渡して、玲汰は反対側のソファに腰を降ろす。 「よくこんな寒い時に冷たいの飲めるべ?」 小岩井を一気飲みしている流鬼。片や玲汰は体を縮めてちびちびとHot茶をすする。 「何いってんの。冬こそ小岩井ダロ?」 へっちゃらそうに飲み干して、空のボトルをゴミ箱にストライクすると、流鬼は立ち上がった。 「―俺、行くぜ」 「っえ…」 不意の言葉に、玲汰の体が前のめった。 「もっと…居たらいいべ」 「俺だって居てえんだよ」 玲汰の前に膝をついて、流鬼はクシャッと彼の髪を掴んだ。
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