小岩井リンゴの苦悩

5/18
前へ
/99ページ
次へ
「じゃ…!」 「ダメ」 言い返そうとする玲汰を流鬼が遮る。 「二人で行くと怪しまれる」 「でも…」 玲汰の額にコツン、と自分の額を当てて、流鬼は溜め息を洩らした。 「約束したろ?特別な時以外は家では会わない。それしか方法ないんだよ」 玲汰が下を向いた。 堪えているのがわかった。 「サンキュ」 そんな玲汰に、下から掬い上げるように、流鬼は唇を重ねた。 「じゃ…な」 すぐ離れて、流鬼は部屋をでていった。 「わかってるっつの…そんなん…」 流鬼が居ない部屋は、もっと寒かった。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

517人が本棚に入れています
本棚に追加