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「あ、そだ。これ…」
ごそごそ丸まった五線紙を出して、玲汰は両手で差し出した。
「これ…」
「俺からのAnswer」
他に紙がなかったんだよね;とおどける。
「そしてもう一つお願い」
こつん、と流鬼の額に自分の額をぶつけて、玲汰は目を伏せた。
「俺がいないときに読んで?」
立ち上がると、「先に帰るべ?」と笑顔だけ残して、玲汰は慌ただしく帰っていった。
一人残された流鬼。
丸まった五線紙を開こうとすると、遠くから「そうだ!!」と聞こえてびっくりした流鬼は慌てて丸めなおす。
「今度どっか遊び行くべ!」
通路先の角から首だけ出して、満面の笑顔で玲汰はそう言い残して再び消えた。
ぷっ、
(素直で正直だなぁ。いつも)
笑いを堪えながら、流鬼は五線紙を開いた。
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