軌の先へ

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ひとしきり笑って涙を拭っていると、葵に出番コールがかかり、彼は流鬼のいるセットの方に駆けて行った。 「っはっはっはっは!…でもよかった」 「俺も。こんなに幸先のいいスタートはねぇべ」 そう言って目を伏せる玲汰は、今までになく快活で、輝いて見える。 「――玲汰くん、ヤマアラシのジレンマって…知ってる?」 「え?」 不意に不可解な事を訊いてくる戒に、玲汰は的の外れた声を洩らした。    
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