軌の先へ

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「れいた」 「?」 「だい……き……」 よく聞こえなくて、玲汰は問いなおしたが、もう同じことは言わねえよ。と流されてしまった。 「これからはな」 「なんだべ…?」 「毎日違う言葉で、沢山くれてやる。だから、一字一句忘れたりしたらぶっころすぜ」 いつもの物騒な物言いに、おー怖っ。とにやけていると、離れ際にふっと流鬼の唇が自分の耳の傍を掠めていった。 「大好きだよ。れいた」 「///////!;」 はにかんで視線を背ける玲汰。満足気に笑いながら流鬼は離れて行った。 「どしたの、れい?」 入れ代わりに隣に立つ戒。はにかんだまましきりにごまかした。 (ほんとに流鬼っていつもっ…) 赤ら顔で苦笑いを溢し、気合い入れに一発その頬をはたいた。 その顔は凛として、いままでにない強い思いが感じられた。  
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