擦りきれる

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そうして毎日練習を重ねてた所為で、左手はかなりボロボロになっていた。右手も腱鞘炎になるんじゃないかってくらい、指弾きとストロークを繰り返す。 それでもまだ足りないって思った。あいつを見返すには、まだ練習が必要だ。 でも、所詮はクラブ。いわば学校生活のプラスαの部分に、毎日時間を費やし続ける訳にもいかない。 そう簡単にギタリストに成れる訳じゃないし、勉強もおろそかに出来ない。 そんなことを考えていると、時々、いっそ全部捨てて、好きなことばっかりしたいなんて思う。 好きなことしかしなかったら、私には何が出来るだろう。 好きなことしかしなくて、もしもその道で挫折したら、私には何が残るだろう。 擦りきれるまで考えると少し怖くなる。 そうして、やっぱり現実に対峙することを選ぶ。所詮一番大切なのは、自分だから。 自分の未来の為の勉強、自分のプライドの為の練習。 バランスを取るのは、なかなか難しい。
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