さようなら、誠様…

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その日の授業は香の様子を見続けて終わった。 あの真面目な香が、授業の間ずっと俯き、ノートもまともに写さない始末。 香が先生に注意されるところなんか初めてみた… 相当深刻な悩みなのは目に見えている。 なのにオレ達に話してくれない… 頼ってくれない… 友達が傷ついて、悩んでいるのに、何一つ助けになれない。 これほど辛い事は無い… オレ達は……頼りにされていない…… 「…ラ!……とっ!………コラ!誠っ!」 「…え?」 帰り道、ボー…っとしていたオレの顔を、美玲が覗き込んできた。 「え?じゃない!どうしたんだ!?お前まで暗い顔して…?」 「………香、何を抱え込んでるのかなって…」 「……そうだな…私達に言えない程に、大きな悩みなんだろう…」 この後、香があんな事件を起こすなんて、オレ達は考えもしなかったんだ…
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