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「う~ん……見ないねぇ…」
「そう…ですか……」
気がつけば、広場の時計は午後3時を回っていた。
香を捜しはじめてから、すでに6時間ほどの時間が経過したことになる。
だが、それだけ聞いて回っても1つの情報も得られていない。
このまま香が見つからないような気さえしてきた…
そして、オレは走るのを止めてトボトボと歩き出す。
傾きかけた太陽が、オレのちっぽけな背中をジリジリと照らしつける。
だが、そんな太陽の熱も感じないほどに、オレの意識は真っ暗な闇のなかにあった…
自分の無力さ、情けなさに、物事を考えたくなくなる……
ドンッ!
「…って!気をつけろクソガキが!」
「…」
人にぶつかり、怒鳴られてもオレの耳には何も入ってはこない。
だが、そんなオレの意識を呼び戻したのは、ポケットに突っ込んでいた携帯電話だった。
~♪~♪♪~
最近、美玲に教えてもらった着うたとやらが、ポケットに入っていた小さな箱から流れだす。
「着信……美玲?」
携帯を開く。
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