46312人が本棚に入れています
本棚に追加
『誠。こちら美玲だ。香は見つかったか?』
こちら美玲って……そんな軍隊の無線通信みたいな…
「あー……いや、見つからねぇ…」
携帯を耳に当て、商店街のガラスの天井を見上げながら力なく呟いた。
そんなオレの暗さを感じとったのか、美玲は『大丈夫だ!絶対にみつかる』と、励ましの声をかけてくれた。
たとえどんな気休めの言葉であろうと、今のオレにとっては最高の言葉。
再び、オレの意識は闇の底から、元の明るい地上へと引き上げられる。
「ありがとう……美玲…」
…くじけるなよオレ!諦めてんじゃねぇ!
「美玲!オレもうひとっ走りするわ!電話切るぜ?」
『そうか。なら、私も頑張ってみるかな!』
通話を切り、携帯をポケットに押し込む。
さて!捜すか!
地面ばかりを見つめていた顔を上げ、通路の先を見つめる。
「…………ぇ?」
最初のコメントを投稿しよう!