さようなら、誠様…

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「…か、香?……ど、どうかしたのか?」 まるで何が起こったのか分からないといった様子のお父さん。 微かに頬をピクピクと動かしながら、私の目を見てくる。 「…引越しなんて……イヤだよ…」 先ほどの怒声とは違い、暗い声で呟く私。 「私…こっちに引っ越してきて、友達が出来たばっかりなのに…!それなのに…また別れなきゃダメなんてイヤだよ!」 そう、この土地に引っ越してきてから、私の中の世界は180度変わった。 心から、大切だと思える友達。 この世の何に置いても、私は彼ら……誠様達を1番に選ぶと思う。 笑って 泣いて 怒って ケンカして まだ出あってから1年も経っていない付き合いだけど、この短い期間で得た思い出は今までで1番最高の思い出となるだろう。 また、一緒に笑いたい… また、一緒に悲しみたい… また、一緒に遊びたい… それなのに……お父さんは別れを選べって言うの?
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